2016年10月23日日曜日

【北朝鮮旅行記番外編】高麗航空が「世界一危険な航空会社」なのは真実なのか?


北朝鮮唯一の航空会社「高麗航空」。
この航空会社は時に個人ブログなどで「世界一危険な航空会社」と紹介されているところを見かけます。
これは本当なのでしょうか。調査してみました。

「最低評価」は間違いない。
高麗航空が世界一危険と言われるその根拠は、おそらくWikipediaでの記述だと思います。

---以下引用---

評価

イギリスの航空リサーチ会社、スカイトラックス社は、「Skytrax Global Airline Ratings」に基づいて作成される「利用したくない航空会社ワースト15」というランキングを発表しており、高麗航空は全600社あまりの中から、2012-2016年の5年連続でワースト1に選ばれている。「添乗員を含むスタッフの言語能力(英語が話せない)」「乗客への気配り」「機内でのエンターテインメント(映画、ゲームなど)」「乗り継ぎの際の対応」「スタッフの数」などが5段階評価の1の評価となった。
---引用終了---

いつ見ても、あまりにインパクトの強い文章です。現在でもそうなのかは分かりませんが、昔聞いた情報では最低評価の「1」を獲得したのは高麗航空のみだったといいます。

「唯一の最低評価!これは危険だ!」
…と、思った人が多いのでしょう。しかし、もっと危険な航空会社は普通にあるのです。
そもそも、よく読んでみてください。この結果は「スカイトラックス社の調査」で、「利用したくない航空会社」のランキング。危険度ランキングではないのです。そしておそらく、本当に危険な会社はまず調査対象ですらないのでしょう。


こちらをご覧ください。
http://www.airlineratings.com/safety_rating_per_airline.php#safteydesc
これは世界中の航空会社の安全度を1~7の数値で評価したもの。英語でよく分からない!という方は、これを引用した日本語のブログがあるので、こちらを参考に。
http://www.bousaid.com/entry/2016/01/10/123542
下の方にある、「全航空会社の格付け一覧」のところです。

最低評価が1、最高評価が7ですが、高麗航空(Air Koryo)は5.5。なんと日本のLCC、「Air Do」の5よりも高いです。そして見ればお分かりのように、1や2を獲得している航空会社もたくさんあります。
ちなみに、参考としてANAとJALは7、韓国の大韓航空も7です。(北朝鮮と韓国の格差を感じる)

となると、あれ?高麗航空は別に世界一危険ってわけでもないな?とお分かりでしょう。
また、どストレートにこんなものもあります。
ailovei - 最も危険な航空会社トップ12
個人のブログですが、海外のサイトからの引用です。引用元サイトはあまりにも広告の数が多い上に質も悪く、スパムの塊のようなサイトなので見なくて良いでしょう…

で、もちろんここに高麗航空は乗っていません。
ネパール、インドネシア、アフガニスタン…わりと納得というかんじの国の航空会社で占められています。これもまた高麗航空が「世界一危険」ではない証拠と言えるでしょう。


結局のところ、おそらくWikipediaで取り上げられている「スカイトラックス社の調査」は世界中のフラッグキャリアや有名キャリアしか調査対象としていないのではないかと考えられます。その上、調査項目は「危険度」だけではなく「サービスの質」のほうに重点が置かれているようですから。


しかしながら、EUへの飛行が禁止されていたり、機体トラブルを理由に中国に勧告を受けたことも確かです。決して「安全」とは言い切れないのでしょうが、国際線を運行する航空会社としてはどうにかギリギリOKなラインを保っているのでしょうし、まして「世界一危険」などというのは見当違いです。

正確に言い直すなら、高麗航空は「(ある調査で)世界最低評価」の航空会社であり、「世界一危険」は不適切であると結論づけまして、この記事を締めさせていただこうと思います。

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