2016年10月5日水曜日

【北朝鮮旅行記7】世界を塗り替えないか


おはようございます。早朝の平壌です。
実質今日が最終日です。

本日行く場所は…

パンムンジョム

こんな名前ですが、お店ではありません。

板門店とは。

韓国と北朝鮮は「停戦中」です。2つの国を隔てるものは「国境線」ではなく「軍事境界線」です。

軍事境界線を越えればもう向こうの国。軍事境界線の向こうは敵対する国。軍事境界線に近づくことはできません。韓国と北朝鮮は、隣り合っていながらお互い向こうの人と対面することはできないのです。

しかし、ごく限られた場所でのみ軍事境界線に接近することができます。その一つが板門店。
「共同警備区域」と言って、この場所は国連軍(韓国軍)と北朝鮮軍が共同で管理している地域です。共同と言うだけあって昔々はこの区域内でのみ両軍の兵士は軍事境界線を越えることができたのですが、過去数回事件が発生し、この区域内でも平時、軍事境界線を越えることは許されなくなりました。
この共同警備区域の中にあるのが板門店という名の地域。あるいは、広義には共同警備区域自体を板門店と呼ぶ場合もあります。
すぐ目の前が韓国。韓国と北朝鮮が地続きであることを確かにこの目で見ることができる。
そんな場所が板門店なのです。

板門店の真ん中には、コンクリートの帯があります。これが軍事境界線。軍事境界線はまず近づくことすらできませんから、実はほとんどの場所ではただ杭が立てられているだけだったりするのですが、板門店だけは明確に分かりやすく軍事境界線がコンクリートの帯で可視化されています。

板門店には「軍事停戦委員会本会議場」という建物があります。会議場は軍事境界線の上をまたがっており、会議場の中でのみ一般の人が軍事境界線を越えることも許されています。この会議場の中で、韓国と北朝鮮同士の話し合いが行われることもあります。

韓国と北朝鮮が接触するためにある場所…そういうことです。そう言うと平和な雰囲気さえ感じますが、そうとも言えません。先ほど言うように、2つの国を隔てているのは軍事境界線。相手が軍事挑発を起こさないかどうか双方の軍人が常にお互い監視しています。

まあなんと言いますか…韓国と北朝鮮がお互いどのような関係にあるのか。それを目で見て実感できる場所と言えると思います。


そんな特別な事情を持った板門店は今や戦争の最前線ながら観光地化しており、韓国でも観光地の一つとして注目されています。

ということで北朝鮮からも韓国からも行くことができる板門店ツアーなのですが…
実は、北朝鮮から行ったほうがいろいろお得説が濃厚です。
理由はいくつかあります。
一つは、北朝鮮のほうがユルい!韓国から行く場合、服装の制限があったり、行動の制限があったり、ツアーに参加するにあたって誓約書を書かされたり、とても窮屈で必要以上に緊張感があるのですが、北朝鮮から行く場合特にこれといった注意点が無いのです。
二つ目は、北朝鮮側からしか見学できない施設の見学です!板門店からほど近い場所に「停戦協定調印場」という建物があり、ここが朝鮮戦争停戦の舞台なのです。朝鮮戦争停戦の現場という、朝鮮半島分断の歴史的にめちゃくちゃ重要と言わざるをえないこの建物は現在では北朝鮮側に位置しているため、北朝鮮側からでないと訪問することができません!
それと、韓国と北朝鮮が共同で運営している(残念ながら2016年9月現在は停止中です…)北朝鮮の「開城(ケソン)工業地区」を遠目にですが見ることができるのも魅力といえば魅力かもしれません。北朝鮮に建つ韓国の会社の工場と言うと、その貴重さというか面白さがお分かりかと思います。
…と、まあ。韓国側からじゃないと見られないものというのももちろんありますから、興味があるならば北朝鮮側、韓国側双方から見るべきなのが板門店とも言えますが、しかしながら北朝鮮側のほうがオイシイというのは伝わりましたでしょうか?


さて、旅行記なのにこんなに文字ばかりでは面白くないですから!そろそろ写真混じりでお話していきますか!

で、今日行く板門店がどのような場所なのか…皆さんにお分かりいただけたと思います。
北朝鮮と韓国を再び仲良く一つの国として結びつけるものはなんだろう…そう考えた結果。
やっぱ…だと思うんですよね。世界をつなぐものは。

引用元:https://editmode.jp/

というわけで今日の服装はこれだ。
ちなみに頭はヤコメッシュ

我ながら意味不明理論…まあなんだろ…

ぶっちゃけると板門店にそれらしからぬ緊張感の無い服着てったら面白いかなって…余計なこと考えちゃっただけです…

板門店は「開城(ケソン)市」にあり、平壌から約200kmもの距離を高速道路で移動します。開城市中心部から板門店まではおよそ8km。
ハッキリ言ってとても長いです。新潟県から東京に行くのと良い勝負だと思うと…そんな距離、旅行でもない限り車で1日で往復とかありえないわ…


それでまあ、道中ずっとこんなかんじの景色ですから…ずっと寝てましたね。ガイドさんも寝てた。今にして思えば、運転手さんほんとありがとうございますってかんじで…


一応、パーキングエリア的な場所には寄りましたよ。どうやら平壌と開城のちょうどど真ん中あたりにあるようです。
道路をまたぐすごい形の建物ですが…使われてるのはトイレくらい。昔はどうだったのか分かりませんが、今はこの建物は飾りもいいとこです。


ところで、建物の前で何かお店出してますね。何が売ってるんでしょうか。


…いーらね!なんか怖い!食べたくないし、そもそも気軽に食べられない量のやつ多くないすか!?パーキングエリアで1kg入りでジッパーもついてないビスケット買うやついる!?
ところで、なぜなのかは分かりませんが、北朝鮮のお菓子は「菓子」、「飴」、「バター菓子」、「揚げ菓子」としか書いてないものばかりで、どうやら「商品名」という概念が無いようです。


パーキングエリアを利用していたのは、もちろん自分達だけではありません。中国人の団体もいました。
今回は個人旅行として回ってるので、他の旅行客に会うことがあんまり無いんです。だから珍しく観光客で賑わってる場所を見たなぁってかんじでした。

あ、今更ですが。


これが私と、そしてガイドさんを乗せて走った車です。
北朝鮮の「平和(ピョンファ)自動車」という会社の製造。つまり、北朝鮮国産車です!
最近、北朝鮮はあらゆるものを国産化することを推進しています。ですからガイドさんは「この車は国産です!」と誇らしげにしていました。
が…窓が自動じゃなかったり…でもまあ、乗り心地はそんなに悪くなかったですよ。そんなに。
ちなみにですが、どこ情報かは忘れましたが平和自動車の車は海外の調査会社?に安全性がどうのこうの言われていた気がします。
…まあその…事故らなきゃ良いんだよ!

さて、それでは再び開城へ向けて出発です。

ということで、見えてきました!開城市!


帰りの飛行機でお隣になった在日のおばさんが言ってたんですが…
「平壌と地方都市で貧富の差すごいでしょう」って。
これは確かに…申し訳ないけど…貧しさを感じるよね…
一応このあたりじゃ一番大きい市ですよ、これ。まあなんでしょう。日本で例えたら県庁所在都市ってかんじ?いくら地方だって県庁のまわりはもっともっと街でしょう、日本の場合。まあそのへんが北朝鮮の現状だよなーって。

開城市は後ほどお昼ご飯を食べにお邪魔しますが、今は素通り。そのまま板門店へと向かいます。


板門店がある「非武装地帯」からほど近い場所に見えますあちらが「開城工業地区」です!
韓国と北朝鮮の関係が今よりずっと良好だった時期がありまして、その時に「北朝鮮の土地と人員で、韓国の企業が工場を運営する」構想が立てられ、それが実現したものです。
つまり、あそこは北朝鮮の中でありながら韓国の工場が建ち並んでいるのです。
わりと最近まで運営されていたのですが…関係悪化に伴い2016年2月から韓国との関係が断ち切られ、建物などは北朝鮮が没収している状態のようです。10月現在でもこの状態は継続しています。

工業地区が見える場所からほんの少ししか行かないところで、もう非武装地帯への入り口が見えてきました。

非武装地帯の入り口の手前で一旦休憩。非武装地帯の入り口部分は石の門があって、まわりは軍人の見張りが多かったり、場所が場所だけあってかなり物々しい雰囲気に。
このパーキングエリア?にお土産物屋とトイレが。それと…


非武装地帯についての概説。ここで非武装地帯および板門店について簡単な説明を受けた後、再び車に乗り込み非武装地帯の中へ。
ところで、この図の右上と左上に何かがあるのが見えると思います。


非武装地帯には韓国側に一つ、北朝鮮側に一つだけ「村」があります。
韓国側は「自由の村」、北朝鮮側は「平和の村」と呼ばれています。正式には、自由の村は「台城洞(テソンドン)」、平和の村は「機井洞(キジョンドン)」と呼ばれます。
お互いの村は双方とも反対側から見ることができ、韓国・北朝鮮が互いの繁栄を見せつけあっている場所でもあります。そのため、向こうからも見える巨大な国旗掲揚塔が双方の村に立っています。
基本的に一般人が立ち入れない非武装地帯ですが、この二つの村だけは別です。どちらの村でも、一般の人が暮らしています。
…と、言われていますが、北朝鮮側の機井洞は韓国からは「宣伝村」と言われており、北朝鮮が自国の繁栄をアピールするために用意した作り物で、誰も住んでいないようです…
韓国側の台城洞はといえば、人は住んでいるのですが、居住の条件が厳しかったり、軍による監視があったり、なかなか暮らしやすいものじゃなさそうに思います。
この二つの村も遠目にですが、板門店からちょっとだけ見えるので先に説明しておきました。

そういうわけで、非武装地帯へと入っていきましょう。
非武装地帯中の通路入り口は、両側を壁に囲まれ、その壁の上には大きなコンクリートのブロックが固定されていました。戦争が再開された時にはこのコンクリートのブロックを落として道を塞ぐようです。金網や有刺鉄線もゴロゴロしてます。
そして、車で通って大丈夫なんだろうかと思わざるをえないほど粗末な橋を通ると、その先は見たかんじ普通の田畑が広がる場所でした。ここが戦争の最前線と言われても、冗談としか思えないほどのどかです。


見えてきたのは機井洞にある国旗掲揚塔。やはりここは非武装地帯なのだとあの旗が教えてくるような心地です。あの国旗掲揚塔は、完成当時は世界一高い国旗掲揚塔だったそうです。
ガイドさん曰く、あの国旗を交換するのにはめちゃくちゃ時間がかかるのだとか…まあそりゃそうだよなあんなデカいし。

そしてまずやってきたのは…


よく見えなくてすまんな。
ここは…言うなれば朝鮮戦争停戦が行われたまさにその場所。
「停戦談判会議場」「停戦協定調印場」がある場所です。


まずは停戦談判会議場。中国人の団体と一緒になっちゃってうるさかった…
ここで国連軍と朝鮮人民軍が停戦どうすっぺとなんやかんやいろいろ話したわけですね。

写ってるのは名も知らぬ中国人のおじさん。

中は狭いです。本当にこんな場所で国の未来に深く関わる重要な会議をしていたのかと思うほど。
机と椅子は当時のものが保存されているそうです。ほんとか、それは。

で。狭い。あまりにも狭いから、停戦の時にはもっと広い場所を用意することになりました。


ということでこれが停戦協定調印場


すごく広いです。こっちは広すぎると思ったほど。
談判会議場と足して2で割るとちょうど良いと思う。

…というのは置いといて。


停戦の文書と国旗。これは北朝鮮側。


そしてこれは国連軍側。

国連軍を率いていたアメリカ軍の代表は、「敗戦」したのが悔しいあまり旗を持ち帰り忘れてしまった
アメリカが置いていった旗は色あせたが、アメリカの朝鮮圧殺策動は今でも色あせていない

…と、軍人さんのお決まりの説明。毎回同じことを言っているようで、他の北朝鮮旅行記ブログでも聞いた文言そのものが直接自分の耳に。


旗と調印文書以外にも、調印場は今では資料展示館のような役割でもあります。


…ま、お察しの通り将軍様多し。おかげさまで北朝鮮臭モリモリ。


さて、調印場を出て、いよいよ板門店へと向かいます。
…と、車に乗り込もうとしたその直前。TBSのカメラが来ていました。何の取材だったのか?
ところでお~い、TBSの君たち、ほらほらホタルTだぞ~わかるか~?

今日の服装(おさらい)

…彼らはスプラトゥーンを遊んだだろうか。ホタルを、ホタルTを知っているだろうか。
そして北朝鮮の、それも非武装地帯なんかでホタルTを見かけるなどと思っていただろうか。

…ま、何の接触も無かったですけど。

そして、しばらく車で移動し、ついに板門店へとやってまいりました。
まずやってきたのは…

金 日 成
1994. 7. 7

金日成主席の生前最後のサイン。書かれた日付が本物なのであれば、金日成主席が亡くなる前日に書いたもので間違いありません。
そのサインを、金正日総書記が石碑に写し、ここ板門店に設置するよう指示したといいます。
金日成主席が亡くなる直前まで仕事をしていたのは事実と言われています。もうほんとに最後の最後まで働いていたわけです。北朝鮮や将軍様の評価は今では散々なものですが、金日成主席は素晴らしかったという声も結構あります。北朝鮮国外の人々からもですよ。
このサインがそれを物語っていると言っても良いでしょう。

中国人の観光客と共に、この像の前で一礼。そしてその先へ進んでいくと…


ついに来ました。この場所へ。
ついに見えました。韓国が。
私は来たのです。北朝鮮の人が踏むことができないあの向こうの地、
韓国・釜山の空港を通って、北京を経由してこの場所へ。


北朝鮮兵が見張っているその奥、このコンクリートの帯の向こうの砂利敷きの地面は韓国です。

今日の服装(おさらい)

韓国の兵士は、かつては常に交代で外に出て北朝鮮を監視していたようですが、今は向こうに見えるあの建物、「自由の家」の中からカメラで監視しているようです。
こっちから見たかったんだけどなぁ、韓国兵…(それと韓国兵にホタルTを見せたかった)


そして、「軍事停戦委員会本会議場」の中へと入っていきます。
最近は板門店観光に来てもここに入れないことが少なくないらしく、ガイドさんに「ラッキーですね」と言われました。


一番奥にいる軍人さんの向こうにある扉を抜けると、そこはもう韓国です。
ここでも軍人さんからの説明を聞きます。
「今度アメリカが戦争を仕掛けてきたら、今度は停戦調停ではなく、停戦調印書に調印する者一人として残らないように根絶やしにする」というお決まりの説明を聞き…ほんのすこしの間の見学時間です。


そして、軍事境界線を越えた。こんにちは、韓国。

世界を、塗りかえなイカ!?

スプラトゥーンは世界を、北朝鮮までも塗り替えた。

最早スプラトゥーンに塗り替えられない世界は無い。

そして高らかに宣言する!この場所は俺が塗り替えた!!

…えーーーっと……

バカかな…?
で、この写真はですね、韓国側の椅子に座ってるところを北朝鮮側に立ってるガイドさんに撮ってもらったものです…。


再び北朝鮮側へと戻ります。軍事境界線を挟んで韓国の「自由の家」と向かい合う北朝鮮側の建物は、この「板門閣(パンムンガク)」。ここの3階から韓国側を眺めます。


水色の建物は国連軍側の、銀色の建物が北朝鮮側の建物だそう。
水色真ん中の建物がさっき入ったところですが、他の建物の中でも軍事境界線を越えられるのか、南北両側から入れるのかは分かりません。(あとで調べたら他の水色の建物は南北の人の接触に使われている映像がありました。)

もっと奥を見てみましょう。


あそこに見える村が、「宣伝村」機井洞です!

…ん?なんで韓国側の奥に北朝鮮の村が見えるのかですって?
良いところに気が付きました。実は軍事境界線はまっすぐに引かれているものではありません。
韓国と北朝鮮は軍事境界線を挟んで南と北とに向かい合っていますが、板門店では西と東に向かい合っています。その関係で、韓国側の背後は北朝鮮が見えるのです。
韓国側から北朝鮮を見るとどうなっているかというと、北朝鮮側は背後もずっと北朝鮮なので韓国の景色は見えません。
さて、そこから左の方に目をやりますと…


旗だけしか見えませんが、韓国「台城洞」の国旗掲揚塔が見えます。あの下に村があるのです。


再び手前に目をやると左端の建物から北朝鮮兵が出てきました。
次のツアー客がもうすぐ来るようで、また先ほどの軍事境界線を監視する配置につきました。


右端のほうに目をやると…あらあら、あそこ草取りできてないじゃないの。
見ての通り、この部分は青い建物が囲っているため韓国側も立ち入れないし、軍事境界線の向こうだから北朝鮮側も立ち入れないしで手入れができないようです。空撮写真で見る限り、あの青い廊下は銀色の建物に繋がっているようです。そりゃ入れないね。

ガイドさんに「もし朝鮮が管理する建物の南側(韓国側)が壊れたりして修理する必要が出てきたら、どうするんでしょうか?」と質問してみましたら、
「事前に南側に通達した上で軍事境界線を越えて修理しに行くようです」と答えていました。
いつのニュースだったか忘れましたが、南北の軍事衝突の危機が差し迫り、それを避けるため南北高位級会談が開かれたことがあったのですが、その時ニュースでは「板門店で開かれた」としか伝えられず、「板門店のどの建物なんだろう?」と思ったことがあります。
写真はあったのですが、その場所がどう見ても軍事停戦委員会本会議場ではなく、「まさか軍事境界線を越えて…?」とすごく不思議に思っていました。
手続きさえ踏めば軍事境界線を越えることもできると分かった今なら、何ら不思議はありません。あれはたぶん韓国側の建物だったのでしょう。
手続きをしていない人が軍事境界線を越えるのは大問題でも、手続きさえ踏めば全く問題がないというわけです。

…とはいえ、わざわざ草取りをするために手続きをするのもめんどくさい、ということなのでしょう。それでもあの程度しか伸びてないなら少なくとも半年に一回くらいは草取りしてそうです。あそこの草取りはやっぱり韓国の仕事なのかな?
というか、他の部分はきちんといつも草取りしてるんだろ思うと涙ぐましい。
こんな物騒な場所には似つかわしくないくらいほのぼのした話ですわ…

なんて言ってはみましたが、正直板門店は見たかんじすごく平和な場所に見えました。
本当にここが戦争の最前線とも言われる場所なのかと。本当にあの境界線を越えてはいけないのかと。
もう普通に向こうに行けそうな雰囲気さえ感じるんです。ネットなんかじゃ緊張感のある場所とよく言われてる気がしますが、少なくとも北朝鮮からの訪問だと全然そうは思えない。本当に、嘘偽り無く、私の目には平和な場所に見えたんです。


ということで、板門店観光を終わり、次なる場所へと向かいます。
次は昼食でございます!朝早くにホテルを出たのに、板門店見ただけで昼食かと思うと、本当にここは平壌から遠いんだなぁと思います。それに比べて、板門店から韓国 ソウルの大統領府までは直線距離で50kmほどですよ。
そりゃ「ソウルを火の海にする」とか言えるわ。
まあ、それでも北朝鮮の装備じゃ厳しい気がするけど。


さて、昼食は開城市内のレストランです。う~ん、どんな場所だったけな…!またしても外観の写真を撮っていない!
ちなみにここは2階です。

さて、料理はというと…


「飯床器(パンサンギ)」という宮廷料理です!ガイドさんは日本語読みでの名前を「しょうばんき」と言っていたんですが…これ覚え間違えてるよなガイドさん??

宮廷料理だし、なんか美味しそうだし、味はいかほどか!?と思って食べましたが…

…あれ?

…なんだろ…?

いや、いやいや。不味くはないんです。普通に食べられますけど…
なんか、そんな特別美味しいわけでもないな…?

いやいやそんな、宮廷料理だぞ。まさかこれは自分が味オンチなのか…!?
と思ってさっき「飯床器」で検索かけたら、「美味しくない」っていうレビューばっかり(笑)
昔々の朝鮮半島の料理なので韓国でも食べられるはずですが、なぜか私と同じく北朝鮮の開城で食べた人ばかり見つかりました。

何が悪いかと言うとよく分からないんですが、まあとりあえず冷たいのがよろしくないですね。
ご飯と、それとこの後に出てきたスープしか温かくなかった。
左端に見える肉でさえ冷たかったですからね。上のほうの茶色いのはもち米なんですが、これも冷たくて、そのせいで固かったし。これ温かかったらもっと美味しかったはず。

2日目の妙香山のそばのホテルでもそうでしたけど、地方都市で食べる料理は冷たいのばっかり!この国の貧しさがあらわれちゃってると思います。
平壌だと温かくあるべきものはちゃんと温かい状態で出てくるんですけどね。肉とか、揚げ物とか、炒め物とか。地方都市だと温かいのはご飯と汁物だけ!これはほんとどうにかするべき。
観光客に出す料理がこのザマだと、地方都市の市民が食べてる料理のレベルはどれほどなのかと察せられます。

…それで…なんかその…あんまり食べられなくて半分くらい残しちゃいましたね…
この貧しい国で半分も残すのはなかなか心が痛んだけれど…
従業員さんが美味しく頂いてくれれば良いか。
もっと美味い料理出してくれよマジで!旅行は特別なものだから!平凡ではダメなんですよ!


…さて、熱くなってないで次に行きましょう。


ここは「高麗成均館(コリョ ソンギュングァン)」です!
ガイドさんによると、「世界で最初の大学」だそうです!!ヨーロッパに大学が誕生するその遥か前に、高麗が世界で最初の大学を作ったんですと!
…ホントか~!?!?

今では建物の外観は昔のまま歴史博物館に役割を変え、昔とは違った形で人々を教育しています。
ちょっと胡散臭いお話を聞いてしまいましたが、写真左の石碑に示されているようにユネスコに登録されているのは事実。実態はどうあれ、建物などに歴史的価値があるのは真実と言って良いでしょう。

さて、中へと入りましょう。


この建物。ここで授業を行っていたらしいです。
さらにその奥は…


この建物は…なんて言ってたっけな…?なんかもう忘れてしまいました。
この中は歴史資料が展示されています。


昔の宮殿の模型って言ってたっけな。よく覚えてないですが、まあなんか昔の建物の模型です。


…えーっと……
…あの、正直言っていいですか。

北朝鮮っぽさが薄くて面白くないですよね、ここ。

分かる。分かるよ。どんな国にも歴史はある。歴史を伝えるのは重要なことです。それが短い歴史であれ、長い歴史であれ、その国の歴史を伝えることは重要です。

けど、北朝鮮はそういうのを求められてる国ではない!
将軍様の肖像画とか、そういう「胡散臭い物」が求められるのが北朝鮮ではないでしょうか!?

…というわけで、ここの写真はペタペタと適当に貼って、流すとしましょう。
気になる人は北朝鮮行って、開城までの長い道のりを移動して、ゆっくりと自分の目で見てね!もちろん開城にもホテルはあるから希望さえ出せばゆっくりゆっくり開城を観光できるよ!
以上!!

もっともっといろいろ展示してあるんですよ。ホントよ。

一応、ここでもいかにも北朝鮮らしい場所はありましたよ。
片隅に唐突に金日成花・金正日花の造花の花かごが置いてあったり。
天井からデカデカと金日成将軍様のお言葉が下げてあったり。
でも、普通の場所が多すぎる…!


そんなこんなで、成均館の見学は終わりました。
そして、そばにあったお土産屋でちょっとお買い物です。
はがきと切手を買いましたが、どんなのを買ったかは後々お見せしましょう。
さーて、もう行くか…という気になったのに、ガイドさんが流れてたアニメに夢中。
…けっこう待たされたよ!あんま急かす気にもなれないし!DVDなんだから買って家とかで観てくれよ!

それでは、平壌に戻りましょう。
車窓から撮った開城の街並みの写真と共に。


うーん、ビルが建っているところもあれど。
やっぱなんだか寂れてるなぁ…

そして高速道路に入ります。

先軍朝鮮の太陽金正恩将軍万歳!

山にまで文字書いてある。ハリウッドかよ。


さようなら、開城。

さて、平壌に戻ってきました。


平壌-開城高速道路の平壌側出入り口には、「祖国統一3大憲章記念塔」というモニュメントがあります。開城に行く時にも通過したのですが、ホントに通過しただけなのでよく見られませんでした。
だけどまあ…ぶっちゃけそんな面白い場所じゃないです。以上。気になる人は自分で調べてください。終わり。


続いては…実は今日行く予定の場所は見終わりました。ということで、ガイドさんにどこか行きたい場所はないですか、と訊かれ…
「万景台学生少年宮殿に行かせてください!」と答えました。
万景台学生少年宮殿は最初は行く予定だったのですが、台風で日程が変更になった関係で開放日に行けなくなってしまったのです。
ですが、せめて外からだけでも良いから見たいとお願いしましたら、連れて行ってくれました。


いやぁ、デカい!素晴らしい!ここが「万景台学生少年宮殿」です!
3日目の記事で説明しましたように、ここで学生達が様々な習い事を受けています。
ここは去年、2015年の末に改装されたばかりのとても綺麗な建物で…中、見たかったなぁ。けどまあしょうがない。外を見られただけでも満足と言うべきでしょう。

車を前の広場に停めてもらってその中から写真を撮っていたのですが…
何やら、後ろにバスの列が見え、その前をパトカーらしきものが先導しています。すると突然、パトカーがサイレンを鳴らしました。
ん、なんだなんだ…物騒だなと思っていたら、この車の前の方から軍人さんっぽい人が歩み寄ってきます。
そして運転手さんとその軍人さんの怒鳴りあいに…途中でガイドさんまで加勢します。

あれ…?まさか、この車がまずいことを…???
どうしたんですかとガイドさんに訊いてみても、なぜかため息を漏らすだけで何も答えてくれません。

ん、まてまてまてまて。大丈夫かこれ。
まさか、俺…死ぬのか…?

いやー待って待って死にたくない。北朝鮮でこの怒鳴り合いはただ事じゃないでしょう。
これマジでヤバいじゃないの。
だってこれ、時間計ってなかったけど…たぶん20~30分以上余裕で経過しましたよ。
んで朝鮮語で怒鳴り合ってるから何が起こってるのか全く分からないし。
まあどうにかなるんじゃないと平静を装っていましたが…
「ここには来ないほうが良かったですね…」と、一言。ガイドさん。

!!!???
いやいやいや、待って待って待って。まさかこれホントにヤバいやつですか。
いやーいやいやいや。やだよやだよ。

もう何も言えませんでした。もう静かに、何かを覚悟してました。


…と、思ったところで車のそばで言い争いになってた運転手さんと軍人さんが、なぜか二人で道路の向こう、かなり遠くまで行き…
植え込みの向こうに入って姿が見えなくなりました。

運転手さん!!!生きて帰ってきて!!!!

何をやらかしたのか分からないからもうホントに、祈るしかないです。この国のことだから、冗談抜きで命がヤバい可能性は否定できないし…

と、心配していましたが5~10分後くらいでしょうか…
何かいろいろと吐き捨てながら戻ってきました。
ああよかった!無事でいてくれて!!マジで心配したよ!

と、こんなところで思わぬことで時間をとられましたが…なんとかホテルへと戻りました。
戻る途中でようやくガイドさんは理由を話してくれました。
「交通違反をしてしまいまして…」
ほんとに???なんか交通違反どころじゃなさそうな雰囲気だったけど???
思うに、あのバスが何か特別なもので、あれが来るから今日はここに来てはいけなかったんじゃないかなぁ、と…根拠は無いですけど。


ちなみにですが、自由が無いと言われがちな北朝鮮でもこのように一般市民が国家権力に歯向かうことは普通にあるようです。
ただ、将軍様絡みのことだけは例外。将軍様には絶対逆らっちゃダメ。
逆に言えば、将軍様が絡まないことならいくらでも反発して良いと言えます。
そう思うと、北朝鮮も意外に普通なところあるなという感じがしませんか?意外に、ですけどね。


さて、ホテルに戻って来ました。
今日の晩ご飯はホテルの食堂で食べます。
この晩ご飯がですね…旅行中の食事の中で一番印象に残ったと言っても良いです。


まあ、鍋なんですけどね。
この鍋…何の鍋だと思います?

ちょっと質問が漠然としすぎてますかね。もうちょっと絞って質問しましょうか。
この鍋に入ってる肉は何の肉だと思いますか?







答えはですね…











です。

ええ、犬ですよ、犬。あのペットとしてよく飼われてるやつ。

実は自分から希望したオプション料理だったりします。
いやぁ~、一度食べてみたかったんですよね。気になりません?犬の味。

犬肉のスープは、韓国では「補身湯(ポシンタン)」、北朝鮮では「タンコギタン」と呼ばれます。
「タンコギ」が犬肉を指していますが、これは「甘い肉」という意味です。

その名の通り、肉の甘味が強く、そしてとても柔らかく食べやすい肉でした。
ぶっちゃけた話…今まで食べた肉の中でもトップクラスに美味しい。

…なーんて言うとドン引きされそうな気がしますけど、いや、マジで美味しいんですよこれが…
犬料理は韓国でも食べられます。犬なんて食べられない!かわいそう!
なんて人には無理なんでしょうけど…特になんとも思わないアナタ。マジで一度食べてみて良いと思いますこれは。ホントに美味かったんだよこれ。


辛い調味料とご飯を入れて食べました。
スープもアツアツで、汗が出てきます。ガイドさんも汗をかきながら食べるのが犬鍋の醍醐味と言っていました。いやぁ~、美味しい。美味しい。マジで美味しい。
また何かの機会に食べたい料理でした。



さて、晩ご飯も終わり、部屋へと戻ります。
の、前に…今日はホテルの売店をぶらぶらしてみました。
北朝鮮らしからぬ豊富な品ぞろえなんですが…


ん、なんかすげぇもん置いてあるな??

こんな堂々と日本製品置いてあるんだ。すげぇ。

いやまあ、それはまあいい。

ホテルで大瓶の醤油とかごま油とか買うやついる???


北朝鮮はこう、ことあるごとに豊かな国アピールをしてきますが。
いくら豊かな国だろうとホテルの売店で大瓶の醤油なんて買うやつおらんやろ???


そういうズレてるところが北朝鮮の面白さではありますが。
なんかこう…もっとまともな方向に進んでくれるとみんな幸せだろうなって(笑)


こうして、北朝鮮で過ごす最後の夜は暮れていきました。

明日は早朝に出発し、出国です。
それではおやすみなさい。

0 件のコメント:

コメントを投稿